抄録
イネより抗いもち病菌物質として抽出された酸化型C-18不飽和脂肪酸のいもち病に対するイネの抵抗性との関係を検討する研究の一つとして,感染葉におけるリポキシゲナーゼ(LOX)活性の変動を調べた。LOX活性は,8葉展開期のイネの第7葉および第6葉についてイネいもち病菌分生胞子懸濁液の噴霧接種後,経時的に測定した。LOX活性は水噴霧でも敏感に変動したが,いもち病菌接種により明らかに増高した。LOX活性の変動パターンはイネ品種とイネいもち病菌レースとの組合せにより異なった。非親和性の組合せでは接種後1日目からLOX活性が急激に増加し,3日目に最大となるが以降は低下した。これに対して親和性の組合せでは,接種後2∼3日目に一時的に増加したが,7日目に最大となった。また,圃場抵抗性の強い品種は弱い品種よりLOX活性の増高がより明確となる傾向がみられた。さらに,同一品種において成熟葉のLOX活性が展開直後の若い葉のそれより高い傾向が共通して認められた。