抄録
ほ場における軟腐性細菌のファージ感受性の実態を明らかにするため,1984年から1986年までの3年間山形県鶴岡市周辺でキャベツ,ハクサイなど17種の野菜類の軟腐性の病斑から839菌株の病原菌を分離し,それらのファージ感受性を調べた。ファージは1984年同地区でErwinia carotovora subsp. carotovoraを指示菌として病斑より分離した10種(a∼j)を用いた。これらのファージに対する反応の差異によってファージ感受性菌株をA∼J群に類別した。1984年には272菌株のうち60菌株(22.0%)が供試のファージのいずれかと反応し,うち43菌株が10群(A∼J)に類別された。1985年には276菌株のうち119菌株(43.1%)が感受性で,うち113菌株が5群に,さらに1986年には291菌株のうち112菌株(38.4%)が感受性で,うち106菌株が7群に類別された。ファージ感受性菌の中で,1984年にはとくに優占的な群はみられなかったが,1985年および1986年にはファージgと反応するG群に属する菌株が優占的に出現し,感受性菌株全体のおのおの84.1%および74.1%に達した。ファージ感受性菌株の割合やファージ感受性の差異によって類別された菌群と分離源の野菜の種類との間に特別の対応関係はみられなかった。