抄録
ラッカセイ斑葉ウイルス(peanut stripe virus: PStV)分離株PN87Nを純化して得た抗血清を用い,間接ELISA法によって種子保毒と野外発生を調査した。1988年産の種子保毒率は茨城県と鹿児島県の種子では1∼4%であったが,千葉県産では10∼23%と比較的高率であった。発生状況について1989∼90年に茨城,滋賀,千葉の各地で調査したところ,感染個体率の多くは21∼29%であったが,千葉県内の1地域では62%に達していた。また,野外調査でPStVとラッカセイ斑紋ウイルス(PMoV)との重複感染が認められ,PStVとPMoVの間に干渉が起こらないことは実験的にも確かめられた。さらに,種子のウイルス保毒の有無は,磨砕試料をスポット後シートをクロロフォルムまたは四塩化炭素で軽く洗浄すれば,DIBA法により比較的簡便に検定できることがわかった。