日本植物病理学会報
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Streptomyces属菌AB-88M株が産生する抗糸状菌物質Ac-1の精製とその諸性質
松山 宣明
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1991 年 57 巻 4 号 p. 591-594

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抄録
ナシ葉葉上から分離された抗糸状菌物質産生性微生物AB-88M株はStreptomyces属菌と同定された。本菌はPyricularia oryzae, Pyricularia sp., Botrytis cinerea, Pestalotia funerea, Helminthosporium maydis, Helminthosporium oryzae, Fusarium roseum f. sp. cerealisに特に強い抗菌活性を示したがFusarium solani f. sp. phaseoli, Fusarium oxysporum f. sp. melonis, Sclerotium rolfsiiにはほとんど活性を示さなかった。本放線菌をベネット液体培地で30°C, 10日間振とう培養後,遠沈上清から活性物質を等量のクロロフォルムまたは酢酸エチルにより振出した。さらに2種の展開溶媒(chloroform-methanol 9:1, benzene-acetonemethanol 28:7:4 v/v)によるシリカゲル薄層クロマトグラフィー,逆相系液体クロマトグラフィー(RP-18, 90% methanol),分取型逆相系高速液体クロマトグラフィー(C-18, 80% methanol)およびn-hexaneによる再結晶により精製し得られた暗赤色不定形結晶をAc-1と呼称した。各種質量分析の結果から,Ac-1の分子量は,MW 536,分子式はC34H16O7と決定された。
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