抄録
南近畿地方の土壌に生息するPythium菌の種と分布を明らかにするため,キュウリ種子による捕捉法を用いて菌を分離し,調査した。供試した28試料中26試料から1試料当り1∼7種のPythium菌が分離または検出されたが,2試料からは全く分離できなかった。分離した合計253菌株は,H-Zs(糸状胞子嚢から遊走子を形成するが,生殖器官は未形成の一群)を含む18種に分類・同定できた。最も一般的に分布していたH-Zsは,20ヵ所から52菌株が分離された。次いで,P. sylvaticum, P. irregulare, P. ultimum, P. aphanidermatumの分布が広く,10∼15ヵ所から23∼30菌株が分離された。