抄録
Cucumovirusグループに属する3種のウイルスの凍結乾燥処理および保存後の病原性の変化,粒子の構造およびRNAと外被タンパク質の変化について比較を行った。キュウリモザイクウイルスではしょ糖密度勾配遠心によるウイルス画分が著しく小さくなった。また,キク微斑ウイルスとラッカセイわい化ウイルスでは,凍結乾燥処理によって膨潤する粒子が現れた。しかし,しょ糖,イノシトール等の添加物を凍結乾燥前に添加することによって,いずれのウイルス粒子も影響が認められなくなった。これらの標品を65°Cに保存した場合も,各種添加物の保護効果の程度と病原性の低下ならびにRNAの崩壊程度に相関が認められ,いずれのウイルスにも共通性がきわめて高かった。これらのことから,Cucumovirusグループに属する他のウイルスも共通の条件で保存が可能であることが示唆された。