日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
ジャガイモ塊茎の疫病圃場抵抗性の室内検定法の改良
佐藤 章夫
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 61 巻 2 号 p. 93-98

詳細
抄録
ジャガイモ塊茎の疫病圃場抵抗性の室内検定にはこれまで噴霧接種法,瞬間浸漬法および付傷接種法が用いられてきたが,いずれも圃場検定との対応は不良で改良を必要としていた。接種法の検討を行ったところ,長時間の浸漬接種で良好な結果が得られた。成熟塊茎を予め数時間水に浸し,これに遊走子懸濁液を注ぎ,感染可能な部位に遊走子が充分に集泳できるようにさらに数時間おいた。感染部位は圃場感染と同様にほとんどすべて目であった。予浸時間(1∼48時間)が長いほど目の感受性は高まり,接種濃度(1∼1000個遊走子/ml)が高いほど病斑数は多く,接種時間は4時間で最高の病斑数が得られた。実用的な検定条件としては,予浸時間を2時間,接種濃度を100個遊走子/ml,接種時間を4時間とするのが適当と考えられた。この浸漬接種法により罹病性の3品種,中程度抵抗性の1品種,抵抗性の1品種を検定したところ,感染程度に品種間で大きな差異が見られ,それぞれの感染程度と圃場で知られた品種の圃場抵抗性レベルとの対応は常に良好であった。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top