日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
キュウリモザイクウイルスRNAの試験管内におけるビリオン形成
小林 晃江原 淑夫
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 61 巻 2 号 p. 99-102

詳細
抄録
キュウリモザイクウイルス黄斑系(CMV-Y)のRNAと外被タンパク質の混合比率を変えて再構成を行い,ショ糖密度勾配遠心分離ならびにアガロースゲル電気泳動により再構成産物の解析を行った。外被タンパク質量が少ない条件下では再構成産物中よりウイルス粒子を形成したRNAと遊離のRNAの両者が検出され,形成された粒子中から主としてRNA1, 2さらにRNA 3が認められ,RNA4,サテライトRNAの量は少なかった。十分量の外被タンパク質により再構成を行うと,形成されたウイルス粒子中からはRNA1から3に加え,RNA4,およびサテライトRNAも検出されるようになった。この結果より,RNA1, 2が優先的に粒子化されることが示唆された。次いでRNA1+2, 3, 4およびサテライトRNAの各単独での再構成を試みた。その結果,電子顕微鏡観察より,いずれにおいても粒子の形成が認められた。以上の結果より,CMV RNAの各セグメントおよびサテライトRNAと外被タンパク質との親和性はそれぞれ異なるが各RNAは単独でも粒子を形成しうることが示唆された。
著者関連情報
© 日本植物病理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top