日本植物病理学会報
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タバコ輪点ウイルスのL-乾燥と凍結乾燥による保存法の比較
福本 文良栃原 比呂志
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1996 年 62 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

タバコ輪点ウイルス(TRSV)のL-乾燥と凍結乾燥による保存法を,しょ糖密度勾配遠心沈降図と病原性の検定によって比較した。TRSVの純化標品は,L-乾燥および凍結乾燥のいずれによってもRNAと外被蛋白質粒子に解離し,ウイルス粒子の量は5%と1%に減少した。しかしながら,乾燥前に種々の添加物を加えることによって保護され,その効果はL-乾燥の方が凍結乾燥に比べて優れていた。高温による保存試験でも,L-乾燥の方が凍結乾燥に比べウイルス粒子の形態や病原性の保持で優れていた。1%ぶどう糖を添加した純化TRSVのL-乾燥標品は,4°C以下の低温では病原性の低下が長期間認められなかった。

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