日本植物病理学会報
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蛍光プローブを用いたin situハイブリダイゼーション法による形質転換Fusarium oxysporumの分化型識別
野々村 照雄豊田 秀吉松田 克礼大内 成志
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1996 年 62 巻 6 号 p. 576-579

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抄録

遺伝子標識法とin situハイブリダイゼーション法を組み合わせ,分化型の異なるF. oxysporumの識別法を検討した。実験には,トマト萎ちょう病菌,イチゴ萎黄病菌,メロンつる割病菌およびホウレンソウ萎ちょう病菌を使用し,それらの小型分生胞子にマーカー遺伝子であるGUSあるいはlux遺伝子を導入した。異なるマーカー遺伝子で形質転換した2種の分化型菌を組み合わせ,fluoresceinおよびrhodamineで標識したGUSおよびluxプローブをそれぞれの菌糸細胞に導入し,マーカー遺伝子の転写産物を検出したところ,それぞれの菌糸が対応するプローブの蛍光色で染め分けられ,両菌が容易に識別された。これらの結果から,形質転換菌を使用し,蛍光プローブによるin situハイブリダイゼーション分析を行うことによって,土壌中または植物組織中におけるこれら分化型を迅速に識別できるものと考えた。

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