日本植物病理学会報
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カンキツトリステザウイルス弱毒系統の強毒系統に対する干渉効果利用によるネーブルオレンジのステムピッティング病被害回避
家城 洋之山口 昭加納 健小泉 銘册岩波 徹
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1997 年 63 巻 3 号 p. 170-175

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抄録

カンキツトリステザウイルス(CTV)強毒系統保毒森田ネーブルの苗木を熱処理して作出した無毒苗木に,ほ場より探索したCTV弱毒5系統および熱処理で作出した2系統ならびにカンキツペインエネーションウイルス(CVEV)を接種して弱毒保毒母樹を育成した。これらの母樹から増殖した苗木の新梢に,CTV強毒系統を保毒する森田ネーブルで飼育したミカンクロアブラムシを2日間放飼して接種した。接種1~2年後にミカンコンテナに移植して戸外に置き,さらに3年後に周囲にカンキツが栽培されているほ場へ定植した。その後,定期的にライム検定,ステムピッティングの発生度,樹の生育,収量等の調査を行った。その結果,数種CTV弱毒系統の強毒系統の感染に対する干渉効果は,ライム検定, SP発生度調査より弱毒ウイルス接種後7~9年間は認められたが,それ以降になると見られなくなった。弱毒系統接種樹では強毒系統接種樹に比べて樹の初期生育が旺盛で,樹が大きくなり,干渉効果が見られなくなった後も収量が多く,かつ大玉果であった。特に,弱毒系統M-15AおよびM-16Aは優れており, 1990~95年の間の5年間総収量が強毒接種樹に比べ約50%増,果実が1~2階級大きくなった。果実のBrixおよび酸度は弱毒および強毒ウイルス接種樹間に差がなかった。

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