抄録
土壌中のハクサイ軟腐病菌の増殖あるいは軟腐病の発病に対する非宿主作物の影響を,ハクサイ連作畑に砂土を客土した圃場で,ハクサイをコムギの間作およびエンバクと混作して3年間調査した。
ハクサイ根の周辺土壌中で軟腐病菌は1年目の春播のハクサイから検出され,夏播のハクサイでは非宿主作物の有無にかかわらずハクサイ連作畑の場合と同程度に増殖した。3年目の結果もこれとほぼ同様の傾向を示したが,2年目はハクサイの収穫期以前に軟腐病菌は検出されなかった。一方,軟腐病は非宿主作物の有無にかかわらず,1年目の春播および夏播ともに連作畑の場合と同様に発病した。しかし,非宿主作物との間・混作およびハクサイ連作のいずれにおいても,作付回数の増加が軟腐病の発生を激しくすることはなく,むしろ初発生が遅くなったり,発病の程度が低いまま終息する傾向を示した。以上のように,ハクサイを非宿主作物の根系と交叉できるようにして3年間栽培したが,軟腐病菌の増殖および軟腐病の発病に対する影響は見られなかった。