日本植物病理学会報
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イネ苗立枯細菌病菌のため池水からの検出と水際雑草での越冬
宮川 久義
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2000 年 66 巻 3 号 p. 214-222

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抄録

メンブランフィルターと選択培地を用いて,水中のBurkholderia plantariiを分離・定量する方法を考案し,本法を用いて農家が育苗等に使用していたため池水からB. plantariiを選択的に検出した.ため池水におけるB. plantariiの濃度は,夏期には最高300cfu/100ml程度であり,冬期には検出されなかったが,池の水際に自生する一部のイネ科雑草株元の水を攪拌すると検出菌量が激増した.またB. plantariiはため池の表面水からは検出されたが,水深2mの中間地点や池底の検出菌量は0.4cfu/100ml以下と微量であった.またB. plantariiは池の周辺に自生する多年生イネ科及びカヤツリグサ科雑草の根部から検出され,多年生イネ科雑草では越冬期間中でも検出された.なお,同様なB. plantariiの生態はこの地域の他のため池でも確認された.またB. plantariiを含むため池の水を接種することでイネ苗立枯細菌病菌の発病が認められた.以上の結果から,B. plantariiのため池周辺雑草での普遍的生存とB. plantariiを含むため池水が本病の伝染源となる可能性が強く示唆された.

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