河川から取水した水を上水に精製する過程で発生する沈殿物(以下,浄水ケーキ)を園芸用培土として利用するために,浄水ケーキ中の
P. aphanidermatumが殺菌される堆積発酵の温度条件を調べ,殺菌効果を高めるための方法を検討した.
P. aphanidermatumが死滅する最低限の熱処理条件をインキュベーターを用いて調べたところ,45°C, 7日間であった.屋外実験では,50m
3の浄水ケーキを2.5mに積み上げて堆積山を作り,3週間間隔の切返し操作を行って発酵させた.
P. aphanidermatumを接種した浄水ケーキをナイロンスクリーンに封じて堆積山の内部に埋没したところ,44°C以上の温度が7日間以上持続した部位で本菌が殺菌された.
P. aphanidermatumが自然に混入した発生直後の浄水ケーキを切返し操作のみの管理で約3か月間発酵させたところ,
P. aphanidermatumが全く検出されなくなった.ビニールシートによる堆積山の被覆は,風雨の影響による温度低下を防ぎ,発酵による温度上昇を促進して本菌の殺菌効果を高めた.また,浄水ケーキへのバーク堆肥の混合によっても発酵による温度上昇が促進され,
P. aphanidermatumの殺菌効果が高まった.
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