心身医学
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Paroxetine 10mgからの退薬で生じ, 診断や治療に難渋したSSRI退薬症候群の1例
野村 恭子中尾 睦宏竹内 武昭藤沼 康樹
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2005 年 45 巻 8 号 p. 619-625

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抄録

うつ状態の26歳男性にparoxetine 10mgを4カ月間投薬後, 家庭的・経済的理由により三環系抗うつ薬へ変更した.Paroxetine中止3〜4日後より衝動性, 易刺激性, 激越などが出現したが, うつ状態のコントロール不良が前景に立っていたため, SSRI退薬症候群の診断が困難であつた.患者は突然の症状に動揺し, 診察予約を無断キャンセルするなどその後の治療経過に難渋した.海外の疫学研究では, 同症候群は早期に自己寛解する経過良好の疾患群で, 希死念慮や投薬量について因果関係は検討されていなかつた.SSRIの投薬を中断する場合には, たとえ最低量の中断においても, 患者に予期される症状を十分に説明することが, 円滑な治療の継続のため重要であると考えられた.

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© 2005 一般社団法人 日本心身医学会
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