心身医学
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機能性ディスペプシア(<特集>心身医学と消化器症状)
金子 宏
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2010 年 50 巻 10 号 p. 931-938

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抄録
機能性ディスペプシアの症状は4つに絞られ,さらに食事との関係から2つのカテゴリー(食後愁訴症候群と心窩部痛症候群)が提唱された(Rome III).各カテゴリーに特異的な病態を明らかにし,理論的な治療法の確立が目標である.摂食に対する能動的反射である胃底部の適応性弛緩不全,それによる急激な胃排出による十二指腸刺激,結果的には胃排出の遅延という病態が,食後愁訴症候群を引き起こす説が有力である.不安状態にある患者への説明と保証が治療効果をもたらす.消化管運動賦活薬,酸分泌抑制薬の有効性が検証されているが,QOLの改善を目標とした良好な患者-医師関係に立脚した心身医学的アプローチが必要な疾患である.
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© 2010 一般社団法人 日本心身医学会
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