2014 年 54 巻 8 号 p. 746-752
2004〜2009年に心理治療外来に依頼された137症例のうち,めまいを主訴とする症例は67例であった.そのうち35例に対し,禁忌症に留意して自律訓練法(AT)を導入した.その結果33例のめまい症が改善し,心身両面への操作と効果が得られた.ATはめまいに対して非常に高い奏効率を示した.また,35例のうち6症例がメニエール病のめまい患者であり,ATによる心理治療によって5例が改善した.その代表症例を報告する.51歳,会社員,男性,メニエール病.主訴はめまい,不眠,不安であった.4年以上の薬物治療が奏効せず難治性のめまい症例であったが,ATとカウンセリングによって不安と不眠は軽減された.同時にめまいのつらさも消失した.5年後も再発はなく心身の健康が維持されていた.