心身医学
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入院集団リハビリテーションによるめまい治療(シンポジウム:めまいに対する心身医学的アプローチ,2013年,第54回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
新井 基洋
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2014 年 54 巻 8 号 p. 753-759

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抄録

はじめに:めまいの治療には大きく分けて薬物治療,非薬物治療がある.薬物治療は,めまい専門医のみでなく一般的に行われているが,それ以外の治療法はあまり普及しているとはいえない.非薬物治療の代表が理学療法,めまいリハビリテーション(以下,めまいリハ)で,良性発作性頭位めまい症(BPPV)に対する理学療法が有名である.しかし,それ以外のめまい疾患に対する理学療法を実施している医師はあまりいない.今回,当院で実施しているめまいリハについて簡単に紹介し,めまい患者の精神症状検査を用いた入院初日からの取り組みと治療効果について検証した.対象と方法:当院に入院しためまい患者161例(男性39例,女性122例,平均年齢62.1±14.1歳,中央値65,IQR 18)を対象とした.めまいリハはCawthorneとCookseyが提唱したリハビリテーションをもとにした北里方式を改変したものである.検査として,身体学的および精神症状検査として以下の各種検査を入院初日と退院4週間後の再来時に実施した.その検査として,Dizziness Handicap Inventory(以下,DHI),SF-8身体機能面;Physical Comnonent Summary(PCS-8)と精神面;Mental Component Summary(MCS-8),State-trait Anxiety Inventory(STAI),Self-ratine Depression Scale(SDS),Profile of Mood States Brief Japanese Version(POMS短縮版)を用いた.結果とまとめ:当院の入院集団めまいリハはすべてのめまい,平衡障害症例で身体機能ならびに精神症状要因の両者に対しその有効性が確認された.(1)入院前のSF-8はPCS-8:42.9±8.0,MCS-8:44.4±8.5で,日本人平均QOL値(PCS-8:49.84,MCS-8:50.09)よりともに低値であったが,入院後はPCS-8:47±6,MCS-8:48.7±6.4でPCS-8,MCS-8ともに有意な改善(p<0.001)を認めた.(2)当院の入院集団めまいリハ加療はめまい患者の身体機能改善に対し有効であった.(3)めまいリハはめまい患者の精神症状の改善にも有効であった.(4)めまいリハによるめまい改善に伴う精神症状改善のみならず,入院による集団療法効果が関連していると考えた.

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© 2014 一般社団法人 日本心身医学会
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