めまい,ふらつきなどの耳鼻咽喉科領域の疾患は情動的要因や心理的ストレス状態が関与することが多い.これらの患者はしばしば耳鳴,聴力障害,舌痛,顎関節痛,咽喉頭異常感,味覚異常,発声障害などの症状も有しており,腫瘍,炎症,アレルギー・免疫機序などの器質的異常のみでは説明困難で,原因不明とされることも多い.これらの症状の診断と治療のためには心療内科と耳鼻咽喉科が連携して身体的・生理的要因と心理社会的ストレスとの関係を探り,心身相関を考慮した病態解析を行うことが重要である.また病態に即した有効な薬剤を選択し,患者に心身相関に関する正しい認知を促し,重症化・複雑化要因となる心理社会的ストレスの緩和を図るなど心身医学的アプローチが必須である.