2014 年 54 巻 9 号 p. 849-855
妊娠うつ病はおよそ10%の有病率があるとされ,決してまれな疾患ではない.しかし妊婦の多くは,薬物治療を希望しないため,より安全性が担保されている非薬物療法の開発の必要性は高いと考えられる.そしてうつ病の補完代替療法の中でもこれまでに最もエビデンスが蓄積されてきたものの一つにω3系脂肪酸がある.本稿ではω3系脂肪酸とうつ病に関する疫学研究の知見,ランダム化比較試験とそのメタ解析の結果,妊娠うつ病に対するω3系脂肪酸のこれまでのエビデンスをまとめた.ω3系脂肪酸は魚に多く含まれ,日常の食生活の影響を多く受ける可能性があり,今後はわが国での実証的な研究が望まれる.