心身医学
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Biopsychosocial Medicineを誰が医学生に教育するのか : 関西医科大学心療内科学講座の教育の変遷から考える(卒前医学教育における心身医学教育の現状と普及への課題,2014年,第55回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(千葉))
福永 幹彦西山 順滋水野 泰行首藤 由江阿部 哲也
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2015 年 55 巻 2 号 p. 120-126

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抄録
現代の医学教育は大きな転換点にあり,さまざまな課題に対して次々と大きな改革が実施されている.中でも医療コミュニケーション,行動科学,緩和医療,多面的価値観などの教育は,講座として担当するなら心身医学が最も適している.関西医科大学心療内科は,1989年より医療行動科学の小グループ教育を手始めに,1994年には心療内科学の系統講義,2005年には両者を包括したPBL(problem based learning)チュートリアル型の全人医療学コースを創設,2012年には再び講義を中心とし,心身医学,行動科学に総合診療領域の講義をも包括した全人医療学コースを運営している.その中で,先に挙げた現代的教育課題を統括して教育することができている.これらの教育は心身医学系講座のない大学では,医学教育学講座や教育センター,精神神経科,医療心理学講座などが担当しているが,心療内科では,講義後の臨床実習を行うことで,概念や知識ではない,実地身体臨床としてコミュニケーションや行動科学,多面的価値観の教育が行える点で,他の部門に優れる.しかし,このような教育を受けた学生,医師の態度がどのように変容し,教育効果があったかどうか検証が必要であるが手がつけられていない.今後の課題である.
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© 2015 一般社団法人 日本心身医学会
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