抄録
最近,中年女性の摂食障害が多く報告されている.本研究では,30〜59歳の一般中年女性369名を対象として,質問紙調査を行い,彼女らの被養育体験や心的表象である内的作業モデルと現在の摂食障害傾向との関連を明らかにすることを目的とした.調査の結果,彼女らの内的作業モデルから分類した恐れ・回避型は,他の型に比して高い摂食障害傾向を示した.また,内的作業モデルの不安定な部分は,摂食障害傾向に影響していた.彼女らの被養育体験は,内的作業モデルと相関があったが,摂食障害傾向とは相関がなかった.今回の結果は,中年女性が育ちの中で獲得した特性が摂食障害傾向の違いを生み出すことを示唆した.