心身医学
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特集 老年期と心身医学
パーキンソン病とレビー小体型認知症
櫻井 博文
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2020 年 60 巻 4 号 p. 315-320

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抄録

パーキンソン病 (Parkinson’s disease : PD), 認知症を伴うパーキンソン病 (PD with dementia : PDD), レビー小体型認知症 (dementia with Lewy bodies : DLB) は, Lewy小体を病理学的特徴とするすべての病態を包括する疾患概念であるレビー小体病 (Lewy body disease : LBD) という1つの疾患スペクトラムでとらえることができる.

DLBのパーキンソニズムは, PDDと比較して静止時振戦や左右差が少ない. 処理速度, 視空間認知機能, 遂行機能, 注意機能などの認知機能障害はDLBのほうがより大きい. 病理学的に, DLBのほうがAlzheimer病理の併存が多く, またPDDの黒質の神経細胞脱落はDLBより高度なことが報告されている.

研究などで用いられる操作的な基準として, 認知症がパーキンソニズムに先行した場合DLB, パーキンソニズムが認知症に1年以上先行した場合PDDとする指摘もある. しかし, DLBとPDDの間に本質的な違いがあるという証拠はない.

高齢PDの特徴とDLBを中心に概説したい.

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© 2020 一般社団法人 日本心身医学会
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