2025 年 65 巻 1 号 p. 54-61
現在,電子カルテの診療データや健康診断データ,薬局での調剤データなど,多様な医療ビッグデータが存在する.こうしたデータベースを解析可能なフォーマットに変換し,共通のヘルスケア・プラットフォームを構築したうえで,各データベースの情報を集約・統合することが大切となる.昭和大学では総合情報センターが中心となり,地域に分かれている附属病院の診療データを一元化している.さらに,患者が主体となって医療情報・健康情報を個人管理できる次世代型のPersonal Health Record(PHR)システムを開発して,社会実装中である.患者はスマートフォンを用いて,診療データベースに安全かつ簡便にアクセスし,自分の健康情報を引き出せる.さらにウェアラブル・デバイスで計測したリアルタイムの生体情報(血圧,自律神経機能,睡眠状況など)もシステムで突合できる.すべてのデータを瞬時に解析し,心身状態の変化をその場で本人にフィードバックできる時代が到来した.