日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
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原著
免疫グロブリン大量静注療法が有効と思われた溶血性尿毒症症候群の1例
金子 一成飯島 恵藤原 サチ丸山 剛志大日方 薫
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1997 年 10 巻 1 号 p. 46-49

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抄録
 ベロ毒素1型 (VT1) および2型 (VT2) が検出された溶血性尿毒症症候群 (HUS) の8歳男児に,病初期に抗VT1抗体を含むヒト免疫グロブリン製剤を大量静注したところ,溶血,血小板減少,腎機能障害,および血管内皮細胞障害の改善を示唆する血漿トロンボモジュリン濃度の速やかな低下を見た。
 HUSは致死的な経過をとることもあるが,病初期に行うべき特異的治療法は確立していない。その時期にVT1を中和する目的で抗VT1抗体を含む免疫グロブリンを投与することは安全で理にかなった治療であり,積極的に試みてよいものと思われた。
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© 1997 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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