日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
ネフローゼ症候群を合併した先天性胆道閉鎖症術後肝硬変症の1男児例
柳田 英彦竹村 司岡田 満村上 佳津美日野 聡八木 和郎福島 強次村田 由佳番 浩吉岡 加寿夫
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1999 年 12 巻 2 号 p. 141-144

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抄録

 肝硬変を伴った先天性胆道閉鎖症の15歳男児がネフローゼ症候群を発症した。患児は先天性胆道閉鎖症のため生後38日目に葛西の手術をうけたが,以後,食道静脈瘤からの出血を繰り返し,食道離断術・脾臓摘出術・門脈塞栓術・食道静脈瘤硬化療法・空腸切除術を施行された。15歳時にネフローゼ症候群を発症し,腎生検組織像は,メサンギウム増殖と糸球体基底膜のdiffuseな肥厚を伴った膜性増殖性腎炎に類似した糸球体像を呈した。経口ステロイド剤の投与にて,1日尿蛋白は1g/日前後まで減少したものの,完全寛解には至らなかった。その後患児は他院にて生体部分肝移植をうけたが,移植後22日目にMRSA感染症のために死亡している。

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© 1999 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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