日本応用きのこ学会誌
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Print ISSN : 1345-3424
アミスギタケの液内培養菌糸体からの子実体形成の主要条件
北本 豊山根 延夫
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1999 年 7 巻 3 号 p. 109-114

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抄録

アミスギタケの液内培養菌糸体からの子実体発生について検討した.3L容のガラスビンにマルトース,ペプトンを主成分とする液体培地を2L入れ,予めPDA培地3枚に平板培養したコロニーを約1〜2mm角に切断して調製した多数の菌糸体片を接種し,27℃で通気撹拌培養した.つぎに培養した菌糸体ペレットを濾過により培養液液と分離・収穫してペトリ皿に移し,菌糸体ペレットの高さの半分程度まで培養濾液を加えて浸した.このペトリ皿を27℃,光照射下で培養して子実体形成を誘導したところ,1-2日後に各ペレットの直接空気と接触する部分から気菌糸が発生し,つづいて原基が発生し,成熟子実体が形成された.しかし,繊維状に増殖させた菌糸体では子実体発生が大幅に遅れ,2週間では成熟子実体は形成されなかった.菌糸体ペレットの大きさと子実体形成の関係は,ペレットサイズが直径10mm前後のものが最適であった.ペレットからの子実体発生数はペレットのサイズが10mmまでは大きいほど増加し,ペレット当たりの成熟子実体の可能な形成数は1個程度と推測された.子実体形成に対する所要目数は約10日であった.

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© 1999 日本きのこ学会
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