抄録
小児の同種骨髄移植に合併する出血性膀胱炎について検討した。発症頻度は26.6% (64例中17例) で,移植前4日から移植後133日に発症し,持続期間は5日から6カ月であった。膀胱灌流を要した重症例は3例であった。膀胱炎合併例の発症年齢は非合併例に比べて高かったが,原疾患や急性GVHDの程度に有意な差は認めなかった。出血性膀胱炎の発症にシクロフォスファミドが関与したと考えられる症例は3例で,いずれも骨髄が生着するまでの早期に膀胱炎を発症した。アデノウイルスが証明された症例は3例で,膀胱炎の持続期間が長く,1例は間質性腎炎を併発して腎不全を残した。17例中13例にメルファランを含む前処置が行われており,他の薬剤と比較して有意に出血性膀胱炎の発症頻度が高かった。メルファランの強い粘膜障害が出血性膀胱炎の発症に関与している可能性が考えられた。