抄録
黄色肉芽腫性腎盂腎炎 (Xanthogranulomatous pyelonephritis; 以下,本症) は慢性腎盂腎炎の特殊型で,小児にはまれとされているが,今回私どもは,3例の本症小児例を経験した。
そこで,その臨床経過・画像検査所見を詳細に検討したところ,以下の特徴を認めた。(1) 当初は急性腎盂腎炎に合致する臨床経過・検査所見であった,(2) 抗生剤に対する反応が不良で,発熱や炎症反応が2週間以上持続した,(3) 発症2週目以降の超音波検査で腎腫瘤を認めた,(4) 他の腎腫瘤との鑑別にはCT,MRIおよび腎シンチグラフィーが有用であった,(5) 2例で尿路結石の合併を認めた,(6) 2例で腎摘出術,1例で腫瘤摘出術を行い経過は良好であった。
以上より小児においても経過の遷延する尿路感染症では,本症を念頭におき積極的に画像検査を行うことが早期診断につながるものと思われた。