日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
原著
学校検尿で見いだされた特発性膜性腎症の男児例
—治療経過と病理組織学的変化について—
福島 愛田中 泰樹星名 哲藤中 秀彦早川 広史富沢 修一
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 14 巻 1 号 p. 65-69

詳細
抄録

 学校検尿を契機に見いだされた特発性膜性腎症の男児例を経験した。ネフローゼ症候群を呈していたため,抗血小板剤,抗凝固剤,ステロイド剤投与を行い,4ケ月後には寛解した。治療方針決定のため9ケ月後に再生検を施行し,Ehrenreich & ChurgのStage IIからIVへの変化を確認した。従来の成人での報告に対し,比較的短期間での基底膜変化があったとみられた。特発性膜性腎症は,自然寛解のある一方で,ネフローゼ症候群を呈するもの,わずかだが腎機能低下に至るものまで存在する。さらに再発・再燃を念頭に置く必要がある。このため現在も治療の是非について一致した見解がみられない。今後,本疾患について臨床経過とともに病理組織学的変化について報告を重ねることが治療と予後の確立に重要と考えられた。

著者関連情報
© 2001 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top