抄録
急性腎不全を呈した溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (PSAGN) の14歳男児例を経験した。急性腎不全にいたった要因として,急性期の水分管理や安静度,年齢,先行感染などの関与が考えられた。急性腎不全を呈し,腎機能障害が遷延したことから腎生検を行った。光顕では管内増殖性糸球体腎炎であり,蛍光抗体法ではC3の腎糸球体末梢血管係蹄の顆粒状沈着,電顕ではhumpおよびアポトーシスが認められた。アポトーシスは急性糸球体腎炎において細胞増殖後の正常細胞数への修復に関与していると考えられており,我々が認めた所見もPSAGNの治癒過程の一端をとらえたものと思われる。