抄録
小児の急性糸球体腎炎は一般に予後良好とされるが,急性腎不全や心不全,高血圧性脳症などで致死的経過をとることもある。
今回我々は,急性糸球体腎炎に合併した高血圧性脳症によりけいれん重積をきたした症例を経験した。本症例においては,静注用降圧剤ニカルジピンの持続投与によって速やかな降圧が得られ,後遺症なく治癒した。また画像検査では頭部MRIが病変の経時的変化を評価する上で有用であった。
したがって,小児のけいれんの原因の一つとして高血圧性脳症を念頭におくべきであること,本症を疑った場合,頭部MRIが早期診断に有用であること,高血圧緊急症においてはニカルジピンが小児においても安全かつ有効な降圧剤で第一選択の一つとなりうると思われた。