日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
小児期発症膜性増殖性腎炎の長期予後についての検討
松村 千恵子倉山 英昭北村 博司金本 勝義安齋 未知子飛田 尚美宇田川 淳子城 謙輔
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2008 年 21 巻 2 号 p. 100-105

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抄録
 小児期発症膜性増殖性腎炎 (Membranoproliferative glomerulonephritis; MPGN) の長期予後を明らかにすることを目的とした。対象は1973年1月より2006年12月までの特発性MPGN 60例 (I型 50例,Dense Deposit Disease7例,III型3例) で,無症候性発症群 48例と有症候性発症群 12例に分け,臨床所見と病理像を比較検討した。無症候性発症群 48例の大半は学校検尿による発見例で,83%は尿所見正常化し,腎病理所見も改善,補体も正常化,腎不全は1例もなく,早期発見・早期ステロイド治療 (ステロイドパルスまたは連日療法後の隔日療法) による長期予後は良好であった。有症候性発症群においては,12例中4例は発症時よりネフローゼ症候群 (NS) を呈して末期腎不全に移行した。発症時のNS,初回腎生検における高率の半月体形成が予後不良の要因と考えられた。
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© 2008 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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