2009 年 22 巻 2 号 p. 106-110
家族性膜性腎症の報告は比較的稀で,これまでの報告例は少ない。今回われわれは,品胎のうち一卵性の二児がいずれも比較的低年齢で膜性腎症を発症した症例を経験した。重金属や有機溶媒への曝露は否定的で,家族歴にも膠原病や尿異常を含む腎疾患はみられなかった。腎生検組織所見は光顕で特徴的な糸球体基底膜の肥厚とPAM染色でのスパイク形成がみられたが,電顕で大小さまざまな高電子密度沈着物が基底膜上皮下,基底膜内,内皮下,傍メサンギウム領域にみられ,二次性膜性腎症を示唆する所見であった。