日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
IPEX症候群と腎疾患
橋村 裕也野津 寛大神田 杏子早川 晶竹島 泰弘金兼 弘和宮脇 利男飯島 一誠松尾 雅文
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2009 年 22 巻 2 号 p. 131-135

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抄録

 IPEX症候群は,FOXP3遺伝子の変異が制御性T細胞の機能異常を引き起こすまれな自己免疫異常症である。また,IPEX症候群患者は無治療で経過すると2歳までに感染や栄養障害から死亡する予後不良な疾患である。しかし,特異的な治療法がなく,免疫抑制剤の併用療法が行われてきたが根治療法とはならない。造血幹細胞移植が,近年,根治術として報告され良好な成績を挙げている。腎合併症は膜性腎症や尿細管間質性腎炎,微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) を呈した症例などが報告されている。MCNSを呈した症例はIPEX症候群の病因である制御性T細胞機能異常の関与が考えられた。本稿ではIPEX症候群およびその腎症状,さらにはその発症原因である制御性T細胞異常と腎炎の関連性に関して述べる。

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© 2009 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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