臍帯血移植後にアデノウイルス出血性膀胱炎から尿管炎と水腎症を来したフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病症例を経験した。7歳男児,フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対して臍帯血移植が行われた。生着が認められたが,移植後40日目より発熱,排尿痛,肉眼的血尿が認められた。画像検査で両側腎の腎盂拡張と右尿管の拡張および粘膜肥厚,膀胱粘膜の肥厚が認められた。尿よりアデノウイルスが分離培養されたため,アデノウイルス出血性膀胱炎から尿管炎と水腎症を来したと考えられた。リンパ球の増加とともに保存的療法にて臨床症状の改善が認められたが右腎の水腎症は残存し,レノシンチグラムでは右腎の排泄障害が認められた。腎機能に関しては長期的な経過観察が必要と考えられた。