日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
小児の上部尿路感染症に対する画像診断の議論:Bottom-Up Approach か,Top-Down Approach か?
金子 一成木全 貴久辻 章志
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2016 年 29 巻 2 号 p. 130-136

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抄録

上部尿路感染症(urinary tract infection: UTI)を起こした乳幼児の管理目標は,UTI の反復と腎瘢痕形成,および慢性腎不全への進行の予防である。近年,上部UTI を起こした乳幼児に対するスクリーニング方法について,Bottom-Up Approach(BUA)とTop-Down Approach(TDA)と呼ばれるアルゴリズムが提唱されている。BUA は上部UTI を起こした乳幼児に排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を行って膀胱尿管逆流(VUR)を発見しようとするものである。一方,TDA は上部UTI を起こした乳幼児全例に,急性期に99mTc-DMSA 腎シンチグラフィーを実施し,異常を認めた場合のみVCUG でVUR を検索するという方法である。いずれにも一長一短があるが,わが国の現状ではBUA が現実的である。

近年はBUA やTDA にMR 尿路造影を併用したり,各種バイオマーカー(急性期の血中プロカルシトニンや回復期の尿中NGAL やアンジオテンシノーゲン)を利用して腎瘢痕の有無を非侵襲的に診断する試みが増えている。また上部UTI のリスク因子としての排尿排便異常(BBD)も忘れてはならない。

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© 2016 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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