2017 年 30 巻 1 号 p. 21-24
尿路感染症(UTI)罹患児に対する持続的少量抗菌薬予防投与(CAP)について,本邦で頻用されるcefaclor(CCL)を用いた検討は少ない。今回,3 施設の初発有熱性UTI症例における,CCL のCAP によるUTI 再発抑制効果について後方視的に検討した。
2004 年4 月から2013 年3 月に昭和大学横浜市北部病院,同藤が丘病院,聖マリアンナ医科大学病院の各小児科に入院した初発有熱性UTI 症例のうち,6 か月以上経過観察できた126 例を対象とした。これらを,CCL のCAP を行った群(CAP 群)と行わなかった群(非CAP 群)の2 群にわけ,患者背景,再発の有無について検討した。また排尿時膀胱尿道造影(VCUG)を施行した症例は,膀胱尿管逆流(VUR)の有無も合わせて検討した。
126 例(CAP 群52 例,非CAP 群74 例)で,両群の患者背景に有意差はなく,CAP 群で有意に再発が少なかった。またVCUG を施行した114 例(CAP 群50 例,非CAP 群64 例)のうち,VUR がある症例ではCAP 群で有意に再発が少なかった(12% vs. 67%,p<0.01)。
CCL のCAP により,UTI の再発を抑制できる可能性がある。