2017 年 30 巻 1 号 p. 25-29
近年の尿路感染症(UTI)のガイドラインでは排尿時膀胱尿道造影(VCUG)の適応が限定される傾向にあり,高度の膀胱尿管逆流(VUR)症例の見逃しが懸念される。そこで,3 施設のUTI 症例から高度VUR 症例の臨床的特徴を明らかにし,VCUG を施行すべき症例を検討した。
2004 年4 月から2013 年3 月に昭和大学藤が丘病院,同横浜市北部病院,聖マリアンナ医科大学病院の各小児科に初回有熱性UTI として入院し,VCUG を施行した168 例を対象とした。grade IV 以上のVUR を認めた症例を高度VUR 群,それ以外を非高度VUR 群に分類し比較検討した。
59 例(35.1%)にVUR を認め,そのうち高度VUR は18 例(10.7%)であった。両群間の患者背景に有意差を認めなかった。高度VUR 群では,超音波検査で異常所見を認めた症例が有意に多く(p<0.05),起因菌でも,E. coli以外が有意に多かった(p<0.05)。
初発UTI において超音波検査で異常所見があり,起因菌がE. coli 以外の症例は高度VUR 合併を念頭にVCUGの施行を考慮する必要がある。