日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
多施設における小児初発尿路感染症の検討~再発の危険因子について~
村田 俊輔小林 久志渡邊 佳孝丸山 真理布山 正貴渡邊 常樹本多 貴実子池田 裕一齋藤 陽
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2017 年 30 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

尿路感染症(UTI)の再発には腎瘢痕形成の危険性があるが,その再発因子に関する見解は多岐にわたる。2004年4 月から2013 年3 月に聖マリアンナ医科大学病院,昭和大学藤が丘病院,同横浜市北部病院の各小児科に入院した初発有熱性UTI 症例中,6 か月間以上経過観察でき,予防内服未施行の72 例を対象に,再発群と非再発群に分け,UTI の危険因子について後方視的に検討を行った。初発時の起因菌は再発群で有意に非大腸菌群が多かった(p<0.01)。また,再発群では有意にSFU grade III以上の水腎症と膀胱尿管逆流(VUR)を認める症例が多かった(p<0.01)。その他,性別や初発時年齢は両群間で有意差を認めなかった。今回の結果からは初発時の起因菌,SFU grade III 以上の水腎症やVUR の有無が再発に関与する可能性が考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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