2018 年 31 巻 2 号 p. 129-134
膀胱尿管逆流症の長期予後は未だ不明な点が多いが,手術により逆流が消失した後に腎障害が進行する例もあり長期的な経過観察が必要と考えられている。今回,2000~2005 年に当院で逆流防止術を施行し,5 年以上経過観察し得た199 名の腎機能(% Cr 値:基準値/ 実測値×100(%))の推移を解析した。男児が135 名(68%),両側性が159 名(80%),手術時年齢中央値は3.0 歳(0.4~16.5 歳),観察期間中央値は10.0 年(5.0~15.2 年)であった。最終観察時eGFR 90 ml/min/1.73 m2 未満であった51 名の腎機能% Cr 値の平均値は手術時77%,術後2 年目85%,最終観察時75%であり,術後2 年目の腎機能より最終観察時の腎機能は統計学的に有意に低下していた。術後短期間は腎機能が保持されていてもその後腎機能が低下する症例が多いことが明らかになった。