2018 年 31 巻 2 号 p. 123-128
小児の慢性腎臓病 (CKD) の原因は先天性腎尿路異常 (CAKUT) が最多である。小児のCKD においても高血圧の管理は重要であるが,血圧は年齢毎に基準値が異なることや変動が大きいこと,白衣高血圧やノンアドヒアランスなどに注意が必要である。また,小児のCKD では成長障害がしばしば問題となる。乳幼児で哺乳不良による体重増加不良があれば,積極的に経管栄養を導入する。蛋白制限食は小児のCKD には推奨されていないが,導入を検討してもよい症例も存在する。高血圧があれば塩分制限は有効であるが,CAKUT や若年性ネフロン癆などでは逆に塩分の補充が必要な症例がある。肥満は予防が必要である。遺伝子解析は,不要な治療の回避,腎外病変の早期発見,移植後再発の予測,家系内の他の患者の診断など有用な情報をもたらすことがある。小児CKD の患者の管理では,個々の患者のそのときの状況に特化した医療・指導を心掛けることが大切である。