日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
総説
慢性糸球体腎炎と溶血性尿毒症症候群の発症病態と制御─若手医師へのメッセージ:いかにリサーチマインドを養うか─
川崎 幸彦
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 31 巻 2 号 p. 96-108

詳細
抄録

慢性糸球体腎炎としては,IgA 腎症の頻度が最も高く,その他,紫斑病性腎炎,巣状糸球体腎炎や膜性増殖性糸球体腎炎などが挙げられる。免疫原性腎炎では,免疫複合体が糸球体に沈着することで補体やマクロファージが活性化し,メサンギウム細胞の形質転換,さらに上皮・内皮細胞障害を介した凝固異常が惹起され炎症のpathwayが進展する。これらの制御には,ステロイド剤,免疫抑制剤やRAS 系の阻害薬による多剤併用療法が用いられ,重症例では血漿交換やLDL アフェレーシスなどが施行される。一方,典型的溶血性尿毒症症候群 (典型的HUS) は,腸管出血性大腸菌感染に起因して発症し,溶血性貧血,血小板減少,急性腎不全を3 主徴とする疾患である。私たちは,典型的HUS の発症病態を明らかにするためにHUS マウスモデルを作製し,このモデルを使用して腎障害からの回復機序や腎再生因子およびHUS の制御に関する新たな知見を得た。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top