日本小児腎臓病学会雑誌
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総説
教育委員会企画小児腎臓病初歩コース1「あなたは急性糸球体腎炎と急性腎炎症候群の違いを説明できますか?」
中西 浩一
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2018 年 31 巻 2 号 p. 109-113

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抄録

WHO の「糸球体疾患の臨床分類」は,腎疾患管理において有用である。1) 急性腎炎症候群,2) 急速進行性腎炎症候群,3) 反復性または持続性血尿,4) 慢性腎炎症候群,5) ネフローゼ症候群の5 つのカテゴリーからなる分類である。本分類を使用するうえで最も重要なことの一つとして,それぞれのカテゴリーは病態であり,病名ではないことに留意する必要がある。特に,「急性腎炎症候群」と「急性腎炎」を混同してはいけない。本邦ではしばしば「急性糸球体腎炎」の「糸球体」がなく「急性腎炎」となっており,この言葉が日常の診療で「急性糸球体腎炎」として頻用されているため「急性腎炎症候群」と混同しやすく注意が必要である。すなわち,「急性腎炎症候群」は「急激に発症する肉眼的血尿,タンパク尿,高血圧,糸球体濾過値の低下,ナトリウムと水の貯留を特徴とする」病態であり,「急性腎炎」は「急性糸球体腎炎」を示す病名である。

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© 2018 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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