2019 年 32 巻 1 号 p. 31-36
Alport 症候群は,IV 型コラーゲンα 鎖の異常により,進行性腎障害,感音性難聴,眼科的異常を来す遺伝性疾患である。病初期は顕微鏡的血尿が唯一の所見であるため,早期に診断することは困難とされる。今回我々は,3 歳児検尿で血尿・蛋白尿を指摘され,7 歳時の第1 回腎生検で非IgA メサンギウム増殖性腎炎と暫定診断され,11 歳時の第2 回腎生検のIV 型コラーゲン染色によりAlport 症候群と診断した男児例を経験した。遺伝形式はIV 型コラーゲンα5 鎖の染色パターンからは常染色体劣性型が疑われたが,遺伝子解析でCOL4A5 exon21 に9 塩基の欠失によるインフレーム変異を認め,X 染色体連鎖型と診断した。Alport 症候群は,IV 型コラーゲン染色や遺伝子解析で診断が可能であるため,持続性血尿の鑑別疾患として積極的に考慮する必要がある。