日本小児腎臓病学会雑誌
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原著
小児ネフローゼ症候群におけるシクロスポリンの液剤とカプセル剤の薬物動態の変化
伊藤 創太郎山川 聡日比野 聡河口 亜津彩山口 玲子真島 久和内田 博之藤田 直也
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2019 年 32 巻 1 号 p. 24-30

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抄録

小児ネフローゼ症候群における液剤とカプセル剤のシクロスポリン(CsA)の薬物動態の変化を検討した。対象はCsA を液剤からカプセル剤に変更した小児特発性ネフローゼ症候群患者13 例。変更した年齢中央値は3.9歳。液剤とカプセル剤の投与量に差はなかった。液剤とカプセル剤の血中濃度-時間曲線下面積(AUC)を比較すると液剤の最高血中濃度は低く,血中濃度の低下は緩徐であった。投与量で補正したCmax/dose,C2/dose,AUC0-4/dose は液剤が有意に低値であったが,AUC0-12/dose では有意差はなかった(P=0.15)。C2 とAUC0-12 の相関は液剤ではカプセル剤より弱かった(P<0.001)。これは液剤では物理的な要因から胆汁の混和が遅延することが原因と考えた。C2 を参考に血中濃度調整を行う場合,液剤はカプセル剤よりも低値となる可能性があり,その場合はAUC の評価が必要である。

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© 2019 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
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