日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
ステロイド緑内障の重症化に隅角形成不全が関与した微小変化型ネフローゼ症候群の1例
平沢 光明 元吉 八重子小野 静香北川 達士横田 俊介亀井 宏一横井 匡古川 晋山口 明日香宮田 理英清原 鋼二
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2023 年 36 巻 p. 9-15

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抄録

小児ネフローゼ症候群の治療に用いられるステロイド薬には,複数の副作用があり,緑内障はその一つである.しかし,ステロイド緑内障は点眼薬による治療で改善することも多く,手術まで要する症例は少ない.我々は,初発のネフローゼ症候群に対してステロイド治療開始後早期に眼圧上昇を認め,両眼に線維柱帯切開術を施行するも,ネフローゼ症候群再発の際にもステロイド治療に伴い,眼圧上昇を認めた症例を経験した.本症例は,一般的なステロイドレスポンダーの要素に加え,隅角形成不全も伴っていた.そのことによりステロイド治療開始早期に急激な眼圧上昇を来し,緊急の緑内障手術が必要になったと思われる.ステロイド治療による緑内障の発症は,本症例のように急速かつ重度な経過をたどる可能性もあるため,ステロイド使用時には可及的速やかな眼圧の確認・管理が重要である.

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© 2023 一般社団法人日本小児腎臓病学会

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