1991 年 4 巻 1 号 p. 21-27
片腎摘出例および片腎無形成例における分節状硬化の発症要因,とくに荷電障害,血管病変および傍髄部優位性 (vulnerability) を中心に検索を行った。
検索には,光顕的に連続切片を作製し,腎皮質を3層に分けて各々検討した。
片腎摘出例18例中5例に糸球体分節状硬化を認め,4例が男性であり,片腎摘出後期間の長いものに分節状硬化の出現頻度が高かった。また,片腎無形成例では,5例中2例に分節状硬化を認め,いずれも男性であった。血管病変では,片腎摘出例に小葉間動脈の高度な肥厚を認めたが,分節状硬化を有する症例に共通の特異的な病変は見い出せなかった。分節状硬化を呈する例では,非分節状硬化糸球体での陰性荷電障害もみられ,陰性荷電障害が分節状硬化に先行していると考えられた。片腎摘出例および片腎無形成例における分節状硬化の皮質3層の検索では,傍髄部優位性は認められなかった。