2025 年 3 巻 2 号 p. 46-54
労働者にみられる抑うつや不安をはじめとするメンタルヘルス不調は年々増加しており,生産性低下や欠勤を通じて労働者と雇用主の双方に損失をもたらし,社会経済にも影響を及ぼしている.とくに中小規模事業場では,専門スタッフの不足などを背景として,メンタルヘルス対策の実装に課題が残されている.一方,理学療法士が専門とする身体活動介入は,生理学的・心理的・社会的メカニズムを介してメンタルヘルスを改善し得ることが明らかになりつつあり,職域メンタルヘルスへの応用可能性は大きい.本総説では,国内の職域メンタルヘルス対策の現状を概観した上で,理学療法が一次予防から三次予防までに果たし得る役割を整理し,その意義と応用可能性について解説する.