日本小児呼吸器疾患学会雑誌
Online ISSN : 2185-3754
Print ISSN : 0918-3876
ISSN-L : 0918-3876
原因微生物と臨床像
中村 明
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 14 巻 2 号 p. 184-188

詳細
抄録
1988年10月~2002年3月の13.5年間に入院した市中肺炎290例について, 痰/血液培養, 抗原診断, および血清診断により起炎病原体診断をした。その後方視的検討結果につき報告する。病原体別では, 細菌1生28.3%, マイコプラズマ性22.4%, ウイルス性17.9%, ウイルス+マイコプラズマ重感染0.3%, トラコーマクラミジア性1.7%, 原因不明29.3%であった。細菌性の起炎菌はH. influemae, S. pmumoniae, M. catarrhalisの3菌種のみであった。細菌感染合併率は, マイコプラズマ性で13.6%, ウイルス性では39.6%であり, これらの続発 (重) 感染の場合も起炎菌は前記の3菌種のみであった。急性肺炎全体での細菌感染関与率は38.6%であった。低年齢では細菌とウイルスの, 高年齢ではマイコプラズマの関与が多く認められた。血液培養陽性は4例でいずれも肺炎球菌性大葉性肺炎であった。小児市中肺炎の起炎菌は極めて限定されており, 従来の黄色ブドウ球菌は化療対象菌種から除外して良い。入院時検査値に関しては, この検査値のみで原因を判別することは困難である。検査値には集団としての特徴はあっても個々の症例での病因診断には結びつきがたい。
著者関連情報
© 日本小児呼吸器疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top